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ESSAY

悪夢

 

それは寝室に広がる暗闇の奥から獲物を狙う黒猫のように、貴女の意識が薄れて行くのを待ちかまえている。

 

やがて貴女が迷い込むのは不条理が支配する世界。ここでは叫び声さえ誰の耳にも届かない。

 

身体の自由さえ奪われ逃げだすこともかなわない貴女は、ただ独り恐怖に怯えることしか出来ない。

 

誰も悪夢から逃れることは出来ない。

罪人

 

無責任な人々は、被害者のはずの貴女を批判する。

検事が貴女の過ちを数え上げるが、その理不尽な告発に、傷つけられる貴女を弁護しようとする者は誰も居ない。

失意と孤独の中で、貴女は自身の過ちを告発し、判事に代わって有罪を宣告すると、非情なまでの刑罰をも科そうとする。

貴女の罪、それはただ貴女が女だったこと...

淫魔

 

神はその姿に似せて人を創造したのだと言う。

しかし女の姿が女神のように神聖なものならば、どうしてその姿が邪な欲望を掻き立てるのか?

女は悪魔の言葉のままに罪を犯したのだと言う。

しかし女の心が魔女のように邪悪なものならば、どうしてその心が慈愛と献身に満ちているのか?


あるいは…聖女を辱め、堕落させては貪ぼる悪魔こそが私なのか?

刹那

背徳と罪の思いが思考を停止させ…

被虐と屈辱が耳元で泣き叫ぶ。

羞恥心に激しく胸を叩かれても、何も出来ないまま容赦無く追い詰められていく女。

 

…遠退いてゆく意識。

満ちてくる官能が全てを飲み込んでしまうと、夢とも現実とも区別出来ない世界で、白い身体が狂ったように身悶える。

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